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いつかこんな日が来ることは、わかりきっていた。
覚悟もしていた。
唐突だったから、ちょっとびっくりしただけだ。
そんな風に強がっても、涙はあふれるばかりで止まらない。
「いった……吐きそう」
ごく小さな声で呟いて口元を手で覆い、引き絞られているような胸の上に爪を立てた。
どれだけの年月を一緒に過ごそうが、大切に思っていようが、最後に新の隣りに立つのは理宇ではない。
わかっていたはずなのに。
想像していた痛みは、理宇が思うよりも鋭く、重かった。
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