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期待に満ちた瞳を真横から感じて、理宇はモジモジしながら口を開いた。
「あっちとかそっちとかそういうの……まだ全然、だし……てか、最近やっと、くっついてても緊張しなくなった感じで……うん」
俯いてぼそぼそと答えたら、ハルがビールを噴いた。
「汚いなぁ」
「ごめ、……予想だにしない健全な回答に動揺を抑え切れなかった」
ハルはむせながら、おしぼりでテーブルを拭う。
「ピンクちゃんは初恋こじらせたまま大人になったピュアボーイ。恋愛に関してはバブちゃんやからな」
「マジで。特別天然記念物級だな」
「……バカにされてる」
むっと顔をしかめる理宇に、ハルは「してないしてない」と両手を振った。
「いいじゃんか、純愛でさ。一緒にいるだけでそんな幸せなんでしょ?」
「……うん」
恥じらいながらこくんと頷くと、二人は揃って「うわぁ」と呟き眩しそうに目を細めた。
「あ……でも」
理宇が思い出したように口を開くと、雪哉が「うん?」と尋ねる。
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