第2話

16/29

714人が本棚に入れています
本棚に追加
/416ページ
  ◇  ◇  ◇  ◇  華やかなメインストリートからは幾筋外れた一画に目的のビルはあった。揺れの激しいエレベーターで3階へ移動すると、すぐに現れたのは青色の扉だ。  理宇は自らの性指向について、はっきりとした自認がない。  物心ついた頃から同じ男である新が好きだったから、ゲイなのかもしれないが、他の同性に好意を抱いたことがないのでよくわからない。  だけど異性に対する欲求を強く覚えたこともないので、きっとそうなのだろうなと何となく感じていた。  男性同性愛者が集うバーの存在は知っていても、特に自分とは関係ない場所だと思っていたのに。  ネットでは、落ち着いた雰囲気で初心者におすすめの店だと書かれていた。それでも足を踏み入れるハードルが高いことに変わりはない。  1分ほど扉の前で躊躇って、緊張の面持ちでドアノブに手を掛ける。
/416ページ

最初のコメントを投稿しよう!

714人が本棚に入れています
本棚に追加