第2話

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 ふと店主が理宇の背後に視線を向けた。理宇が振り向くと、男が再びこちらへと近づいてくる。  助けはいるか? という店主の目くばせに、理宇は小さく首を横に振った。 「どう? 答え出た?」  スツールに片手をついて覗き込んでくる男へ、理宇は小さく息を吐き出してから口を開いた。 「一緒には行けません」 「え? なんで? タイプじゃない?」 「……そういうのはよくわからないけど、とにかく行けません」  男は不服そうな表情を見せたが、3秒もしないうちに気を取り直して笑顔になる。 「じゃあさ、連絡先だけでも教えといてよ」  返事も聞かずパンツの後ろポケットからスマホを取り出す。 「失恋したばっかって精神的にかなりキツいでしょ。俺いつでも話聞くからさ」 「大丈夫です」  きっぱりと拒否の言葉を告げると、スマホを操作していた男の視線が画面から理宇に移った。
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