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◇ ◇ ◇
「うっわ……マジか……」
自宅の部屋の惨状を目にして、そう呟いたきりしばらく言葉が出てこなくなる。
ワンルームの大して広くはない空間。その一面が余すところなく水浸しになっていた。ベッドも、ソファも、TVもレンジも。
被害をまぬがれたものを探して、避難させて……という思考すら湧かない程度にはひどい有様だ。
「ご迷惑をおかけし申し訳ございません」
電話を掛けてきた管理会社の男は、理宇が帰宅するとすでに部屋の前で待っていた。マンションの大家だというおじいさんの姿もあったが、挨拶だけしてすぐに上の階の確認に行ってしまった。
「現在上の部屋で業者が調査と対処を行っている途中ですが、恐らく給水管になんらかの不具合が生じたと思われます。上階にお住いの方は先週から長期出張に出られておりまして、水の使用はございませんでした」
男が説明している間にも、天井からはダラダラと水が垂れ続けている。まだ止められてはいない様子だ。
「まだ確認中で定かではありませんが、すでにここまで被害が及んでいるとなると、恐らく壁や床の張り替えが必要になってくるかと思われます」
「それって……しばらくはここに住めないってことですかね?」
恐るおそる尋ねると、男は再び「申し訳ございません」とスーツの腰を折った。
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