第3話

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 保険の申請に必要だという室内の写真撮影を始めた男を部屋に残し、一旦部屋を出る。ドアの前で待機していた新がすぐさま声を掛けてきた。 「理宇、どうだった? 何か手伝うことある?」 「……あー、なんていうか思ったより悲惨な感じで……」  LiBで電話を受けたあと、店長に事情を説明すると「仕事はいいから今すぐ帰んなよ」と送り出され、すぐに店を出た。 新は「心配だから俺も行く」とついてきてくれた。 「電化製品全滅だな、あれは。あと、壁とか床とかも張り替えになるみたいだから、しばらく住めないっぽい」 「え、住めないって、どれくらい?」 「早くて1週間、もしかしたら1カ月くらいだって」 「そんなに?」 「あ、でも大丈夫。その間の家賃はタダにしてくれるらしくて」  新は突如災難に見舞われた理宇に同情してか、難しい顔つきになる。 「ダメになった電化製品とかも保険で弁償してもらえるみたいだし。新品に買い替えられてむしろラッキーかもだな」  レンジとか最近調子悪かったし、なんてあえて明るく言ったけど、新からの反応はない。
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