第3話

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「新?」  呼び掛けると、何かを考えこむようにしていた新が口を開く。 「うちに来れば?」 「……へ?」 「部屋の修繕が終わるまで。うちからだったら、理宇の店までそんなに遠くないだろ?」 「え…………」  新の提案に、硬直する。  俺が、新の部屋に、住む?  朝起きて、新がいて。  夜は新に「おやすみ」を言われて、同じ空間で眠る。  それが何日も続く?  いや、無理だし。絶対無理。即死。  自問自答は一瞬で終了した。 「大丈夫だって。家賃浮く分、ビジホにでも泊まるつもりだから」 「毎日ホテルに泊まってたら、家賃超えるんじゃない?」 「それは、そうかもだけど……」 「いつまで掛かるかも、はっきりわからないんだし、俺の部屋ならいつまでだって居てくれても構わないから」 「や、でも……」 「それとも、他に行く当てあった? 仲いい友達とか、彼女のところとか」  心なしか新の顔がしょんぼりして見えた。
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