第3話

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「新……」 自分がそんな顔をさせてしまっている罪悪感とか、やきもちのようなセリフに胸が疼く感覚とか、いろんなものが一緒くたになって襲ってくる。  そんな寂しそうな瞳にじっと見られたら、 「当てとかないよ。えっと、じゃあ、お言葉に甘えよっかな」  理宇にそれ以外を答える余地はない。  すると新の顔がぱっと明るくなって、はにかんだ笑顔が浮かぶ。 「うん、甘えて」  綻んだその表情に、理宇は動きを止めた。  心臓が痛い。  可愛いとかっこいいのせめぎ合いで、言語中枢が麻痺する。  興奮して、心拍数と血圧が上昇するのを感じる。  1週間? 1カ月?  そんなに新の傍にいたら、本当に臓器の1つや2つ壊れてしまうんじゃないだろうか。  まだおさまらない鼓動を感じながら、理宇は嬉しさと不安でおかしくなりそうだった。
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