第4話

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第4話

 タクシーを降りると、閑静な住宅街が広がっていた。  湿ったリュックを背負い、右手にはスーツケース、左手にはビニール袋。貴重品と生活用品、衣類を詰め込めるだけ詰め込んである。  そんな怪しい出で立ちで、4階建てのデザイナーズマンションへと進入する。  少し歩けば繁華街という立地で、真新しい近代的な建物。入口は当然のようにオートロックだ。  きっと家賃は大台超えだろうし、水漏れ被害に遭うこともないだろう。  新の部屋は3階の角部屋だ。 「ちょっと散らかってるけど」  新の両手も、理宇の衣服が入った袋で塞がっていたため、一旦床に袋を置いて扉を解錠する。 「お邪魔します」  そわそわした気持ちで、新の部屋に足を踏み入れる。先に靴を脱いで室内に上がった新に続こうとしたが、履いていたサンダルを脱ぎかけて動きを止めた。
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