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「理宇、優先して洗っとくのある? 明日着るのとか……」
洗面所から出てきた新が、グラスを持つ理宇を見て固まる。
「なあ、新これって……」
呼びかけると、新は顔を隠すように口元を手で覆った。
そんな新の反応に理宇は質問の答えを得て、ニヤける口元を隠すために新と同じく手で顔を覆う。
「これ、やっぱ俺があげたやつか。中学の修旅のお土産だっけ。物持ちいいな」
「お気に入りだから、実家から持ってきた」
「何それ。嬉しいこと言うなよな」
互いに同じポーズをしていることに気付いて、同じタイミングで笑って手を離した。
中学の修学旅行は沖縄に行った。同級生たちとの旅行が、楽しくなかったわけじゃない。だけどふとした瞬間に新のことばかりを考えた。新が一緒だったら、もっとずっと楽しいんだろうなと寂しい気持ちになった。
行程にガラス作りの体験があると知った時から、新のお土産にしようと考えていた。
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