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「本当に気に入ってて、ほぼ毎日使ってる。すごくきれいな色で」
「だろ! 我ながら会心の出来だと思ったんだよな。新のイメージにぴったり合う風合いがちゃんと出てさ」
「え……」
「え?」
どうして新がそんなに驚いた顔をしているのか不思議に思って……理宇はすぐに自分の失言に気付く。
そうだった。当時は「いい感じのお土産見つからなかったからこれで我慢して」とか「意外と上手くできたのに、自分で使ったらすぐに割っちゃいそうだから」とか、適当な理由をつけてこのグラスを新に渡した。
「あー、あはは。昔はなんかこっ恥ずかしくて黙ってたけど、最初から新のお土産用にって作ったやつなんだよな、これ」
変に誤魔化した方が墓穴を掘りそうで、正直に話す方を選んだ。
「新は青空の下にいるイメージが強かったから、その色」
どこまでも澄んでいて、見上げているときれいで泣きたくなる青。
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