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「そうなんだ」
返事をする新の声が硬い気がした。
引いただろうかとか、ひた隠しにしている重い気持ちがバレたのだろうかと、不安になる。
「ありがとう。もっと大事に使う」
とろんと目が溶けたように、心底嬉しそうに新が笑った。
ほっとした気分と、胸のざわめきに同時に襲われる。
「えっと、先にフロ借りていい? やっぱなんか汚れてる気がして、ソファ座るのとかも気が引けて」
このまま話していたらまた余計なことを言いそうで、ひとまずこの場から逃れることにした。
「わかった。タオルと着替え出す」
「ごめんな、ありがと」
とりあえず濡れた衣類を洗濯機にかけて、シャワーを浴びる。
いつも新が使っているシャンプーやボディーソープだと思うと、ポンプを押す手が少し緊張した。
なんとか無事だったボクサーパンツを履いて、新が用意してくれたTシャツとハーフパンツを着る。
上下ともにだぶついて、想像以上の体格差を実感した。
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