第4話

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「新、シャワーありがとな。服も」  髪を拭いながらリビングに戻ると、ソファに座っていた新がやけに俊敏な動きで起立する。 「新?」  凝視してくる新に、どこか変なところでもあるのかと首を傾げた。 「……あ、ごめん。やっぱりちょっと大きいなって」 「あー、結構体格差あるんだな。身長差はわかってたけど」 「理宇、細いから」 「いやいや、最近結構肉ついちゃって、前より腹とか出てる気がするんだけど」  確認するようにシャツの裾をめくったら、「見せなくていいから」と新が遮る。 「何か飲む? 水かお茶しかないけど」 「お、サンキュー、お茶ちょうだい」  座って待っているように言われて、ソファの端に腰を下ろす。  新の部屋はこれまでに2回くらいしか来たことがない。最後に訪れたのは1年以上前だった。前回はなかった壁際の本棚に、理宇とは縁のないビジネス書がずらっと並んでいる。
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