714人が本棚に入れています
本棚に追加
/416ページ
「新、シャワーありがとな。服も」
髪を拭いながらリビングに戻ると、ソファに座っていた新がやけに俊敏な動きで起立する。
「新?」
凝視してくる新に、どこか変なところでもあるのかと首を傾げた。
「……あ、ごめん。やっぱりちょっと大きいなって」
「あー、結構体格差あるんだな。身長差はわかってたけど」
「理宇、細いから」
「いやいや、最近結構肉ついちゃって、前より腹とか出てる気がするんだけど」
確認するようにシャツの裾をめくったら、「見せなくていいから」と新が遮る。
「何か飲む? 水かお茶しかないけど」
「お、サンキュー、お茶ちょうだい」
座って待っているように言われて、ソファの端に腰を下ろす。
新の部屋はこれまでに2回くらいしか来たことがない。最後に訪れたのは1年以上前だった。前回はなかった壁際の本棚に、理宇とは縁のないビジネス書がずらっと並んでいる。
最初のコメントを投稿しよう!