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「そういえば夏休みとかほぼ毎日泊まってた気がする」
「あー、あれは最高だったな。部屋でこっそり夜中に菓子食いながらゲームする怠惰な日々」
「翌朝起きられなくてラジオ体操にいけなくて、親に怒られてた」
「そうそう! 大嫌いだったなラジオ体操」
せっかく学校へ行かなくてもいい夏休みなのに、毎朝近所の公園に集まって、背伸びの運動から始まるあれをやるのが嫌で堪らなかった。
「あれってウチの地域だけ? こっち出て来てからあの曲聞いてない気がするけど」
「いや、全国的なものだってテレビでやってたけど。でも最近は騒音とかで、実施してないところも増えてるって」
「へえ、時代だなぁ」
嫌いではあったものの、なくなったらなくなったで、なんだか寂しい気もする。
懐かしい思い出で盛り上がりながら、注文の品を完食した。
和やかな時間に、理宇の中の緊張もすっかり解けていた。
しかし、これなら問題なくやっていけるかも、なんて安心していられたのは、そこまでだった。
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