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「理宇、ごめん。実はうち客用の布団とかなくて、さっきネットで注文したとこなんだ」
「え、ごめん。てか、注文してくれたんだ。いつの間に」
「タクシーの中。明日の夜に届くはずだから」
新の仕事の速さに感心する。
「あ、お金払うから、ちゃんと請求してくれよな」
強く言ったら、理宇の勢いに押されるように新が「わかった」と頷く。
「だから今夜は俺のベッドで寝てくれる? 俺はソファで寝るから」
新の提案に理宇は慌てて首を左右に振る。
「いや、それだったら俺がソファで寝るって。新のベッドなんだし」
ソファは両サイドに木製のアームが付いているタイプだから、ベッド代わりには適していない。
「理宇は明日も仕事だろ。寝違えたり身体に不調があったら仕事に差し障るから」
「でも、新の方が身体でかいんだから、ソファで寝たら足はみ出すだろ。俺だったらちょっと足曲げればなんとかいけそうな気がするし……」
「はみ出ても平気だから。1日くらいどうってことない」
「ダメ、絶対ダメ。俺が迷惑掛けてんだから俺がこっちで寝る」
これではいつまで経っても平行線だと気付き、一旦お互いに黙り込む。
数秒経ったあと、沈黙を破ったのは新の方だ。
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