714人が本棚に入れています
本棚に追加
/416ページ
「寝たらごめん」
シャンプー台に移動して、チェアを倒す。見上げてくる新を覗き込むと、「理宇のシャンプー気持ちいいから」と笑う。
「よし、30秒で落としてやる」
得意げに笑って、フェイスガーゼで新の顔を覆う。
「サービスでヘッドスパしてやろう」
濡らした髪に泡のフォームをつけて、頭皮を揉み込んでいく。
「あー、だめ、気持ちいい……」
唸る新に手技にも力が入る。
髪を乾かしたあと微調整して、ワックスをもみ込み動きをつける。
「うん、まごうことなき爆イケ。さすが俺」
仕上がりを確認して、新の肩を叩く。「お疲れ様でした」と、クロスを外すと、新は「理宇こそお疲れ様」と労った。
すでに店の最終受付時間を過ぎていて、フロア内に他のお客はいない。
受付カウンターの手前、店のロゴのプレートが飾られた壁まで移動して、写真を撮る。
引きで。アップで。横から、後ろから。
もう何度もしているから、新も慣れたものだ。
最初のコメントを投稿しよう!