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「寝る。もう寝よ、寝よ」
言い返す言葉を持たない理宇は、そう宣言してシーツの上に身体を横たえる。
「うん、もう電気消していい?」
大丈夫だと返事をすると、新はリモコンを操作して部屋の照明を落とした。
「おやすみ」
「うん、おやすみ」
暗闇の中で言い合って、目を閉じる。
……だけど眠気はまったくなかった。
すぐ近くに新の体温があって、衣擦れの音も息遣いもしっかりと聞こえてくるのだ。興奮と緊張で眠れるわけがない。
昔は一緒に寝ることが当たり前で、何も気にならなかったのに。
変わってしまった自分が、少し後ろめたかった。
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