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次に理宇が目を開いたのは、何かがぶつかる衝撃でだった。
寝返りを打って何かに当たって動きが止まる。
壁にしては柔らかで、温かで……。
目を開くと、新の整った顔立ちが至近距離にあった。
夢か現実かわからないまま思考停止していたら、長いまつ毛が震えて、瞼が少し開く。
そこでようやく、これは紛れもない現実だと認識した。
「っ、わぁ……」
驚きのあまり悲鳴のような声をあげて、勢いよく身体を逆方向へと反転させる。
しかし、理宇の身体は回り切らずに途中で止まった。
にゅっと伸びた腕が、理宇の胸の辺りに回って、理宇の動きを遮った。それだけではなく、そのままぐっと引き寄せて、理宇は再び新と密着する形で向き合う格好になる。
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