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「……落ちる」
掠れていて不明瞭な声がすぐ傍で聞こえた。
え、何。何これ。え?
ただでさえ寝不足の寝起きで回らない頭だ。状況を飲み込むのに時間が掛かる。
ああ、そうか。俺がベッドから落ちそうになったから、咄嗟に引き寄せてくれたんだな。優しい。
どうにか答えを導き出すが、ちっとも一件落着はしていない。
理宇を引き寄せてベッドから落ちずに安心したのか、新はそのまま再度眠りに落ちた様子だ。静かな寝息が聞こえている。
これは、非常にヤバい。
こんなに新にくっついた状態では、脳か心臓、どちらかがやられてしまうのも時間の問題だ。
新を起こさないように、ゆっくり少しずつ身体をずらして脱出を図る。
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