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「もしかしたら、新くんもピンクちゃんのことが好きで、どさくさに紛れてギューしたのかもしれへんなぁ?」
意味深な笑顔を寄せてくる雪哉に、理宇は盛大な溜息を吐いた。
「それは絶対ない。大体、あれは寝ぼけてただけだから」
「そんなんわからへんやん」
「新は嘘とかつかないし。っていうか、起きて相手が俺だって気づいた瞬間、思いっきり「間違えた」って顔してたから」
それがあったから、理宇はベッドから逃げたトイレの中で、比較的すぐに平静に戻ったのだ。
「あーらら。誰と間違えたんやろな?」
「……う」
胸に込み上げる苦いものを誤魔化すように、紅茶に似た味わいの液体を呷る。
「具体的に想像しないようにしてるから、それ以上言わないで」
グラスの半分程を飲んで、盛大な溜息を吐いた。
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