第5話

6/21
前へ
/416ページ
次へ
「例えば、逆の立場やったらどう思う?」 「……え?」 「ピンクちゃんにとっては、新くんは大事な大事な幼馴染。やけど恋愛感情はない。逆に新くんにとってピンクちゃんは、仲いい幼馴染のフリしてるけど、本当は子供の頃からずーっと好きな気持ちを隠してる」 「えっ、ない、いや、それはないから」 「こら、本気で動揺すな。ええからちゃんと考えてみ。新くんはずーっと気持ちを持て余して、思い悩んどる。ピンクちゃんに迷惑掛けたないから、嫌われたくないから、ずっと我慢して、我慢して、我慢して。傷ついても平気な振りして笑っとる」  雪哉に言われて、これまで何度も胸を刺した痛みを思い出す。  爆発しそうな気持ちを抑え込んで、彼女ができても笑って、得意げに助言めいたことを口にして。  見ないふりしきれない、重くて、苦しい感情にこっそり泣いた。 「こんな気持ち、絶対新にさせたくない」  顔をしかめる理宇に、雪哉は軽く頷いた。
/416ページ

最初のコメントを投稿しよう!

715人が本棚に入れています
本棚に追加