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「新くんかて、そう思うんちゃうの?」
無意識に胸元のシャツを握りしめながら、理宇は雪哉を見つめた。
「ずっと近くにおったのに、相手がしんどい思いしてんの気づかんままやったって、もしもあとで知った時、自分を責めるんとちゃう? 間接的にでも自分が原因やったら余計に」
「それは、……でも俺が新を好きなのは、俺の勝手で、新は何も悪くない、から……」
「そんなん言われても割り切れんやろ。大事な相手やったら尚更、なんで早よ言ってくれへんかったんやって、悲しくなるかもしれへんね」
黙り込んだ理宇に、雪哉はごく柔らかい口調で続けた。
「ずっと変わらへんのは尊いことかもしれへんけど、変わるのも悪いことばっかりちゃうよ。どんな形になっても」
雪哉は冗談めかしても、面白がってもいない。
心からの助言に、理宇の中でもやが広がった。
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