第5話

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「こんな時間なのに、もう1個いっちゃいそうなくらい」 「理宇、もしかして夕飯まだだった?」 「食べたけど……バーでピザとポテト」  さすがに食べ過ぎだろうかと、腹部を撫でさする。 「バー行ってたんだ……デート?」 「え、違う違う。1人だし。いつも行ってる店でちょっと飲んでただけ」 「そうなんだ。行きつけのバーがあるとか、なんかカッコいいな」 「いや、行きつけっていっても俺そんなに飲めないし、いっつも弱いのしか飲んでないから。洋酒をロックでグイっといく感じの店でもないし」  雪哉の店の棚には、もちろん高そうなウイスキーのボトルも並んでいるが、注文されるのはハイボールやカクテル、ビールばかりだ。琥珀色の液体に氷を揺らしてじっくり愉しむような客は、あまり見たことがない。
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