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◇ ◇ ◇ ◇
創作居酒屋で夕飯を食べて、並んで最寄り駅に向かう。
毎度のことだけど、道行く女の子の視線がものすごく突き刺さる。主に隣に向けて。
「理宇、こっちでいいの?」
新が山手線の駅を指差す。
「ああ、うん。ちょっと用事あるから」
普段理宇はロードバイクで通勤しているが、今日は店に置いてきた。電車で帰るなら、山手線ではなく私鉄だ。
「もしかして、彼女とデートとか?」
「えー? なーいしょ」
十分に含みを持たせた笑みで答えると、新が立ち止まる。
「理宇は、そういう話は全然俺にしないよな」
「え?」
新に合わせて立ち止まる。
「俺には結構、彼女の話訊いたり、アドバイスとかしてくれるのに、自分のことは全然言わない」
「新……」
珍しく少し不満げな表情を見せる新に、どこか呆けたように名前を呼ぶ。
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