715人が本棚に入れています
本棚に追加
ちょこんと新の隣りに座り直すが、言葉を続けることも、何もなかったように豚まんを手に取ることもできない。
あー、もう。何やってんの俺。ほんとやばいって。
内心新は引いてないだろうかと、冷や汗が流れる。
そんな理宇の代わりに、新がまだ一口も食べていなかった豚まんに手を伸ばす。
「俺、理宇に子ども扱いされたくないって思うのに、昔みたいに抱きしめられたり頭撫でられたら、嬉しくて……安心するのちょっと悔しい」
照れくさそうに言って、豚まんにかじりつく。その横顔は、やっぱり反則級に可愛かった。
そして、特に変には思われていない様子に、密かに胸を撫で下ろす。
「子ども扱いしてるわけじゃないって……可愛いなぁとは思うけど」
兄的立場として、これくらいは許されるだろう。
「それって結局、子ども扱いと一緒のような気がする」
不満そうな新の声に、「どうだろうなぁ」と悪戯っぽく笑って、理宇はようやく豚まんに手を伸ばした。
最初のコメントを投稿しよう!