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「……ごめん、無理に聞きたいわけじゃなくて」
新ははっとして、慌てて言葉を重ねる。
「ちょっと寂しいとか、子どもみたいなこと思っただけで……本当ごめん」
早口で焦ったような新を見ていると、胸が疼いて、なんだか色々なものが全身から飛び出しそうになる。
そんな気持ちを、したり顔で覆い隠して口を開いた。
「残念だけど、今日は行きつけの店に顔出すだけなんだよなぁ」
「そうなんだ」
新は意外そうに呟く。
「っていうか、新のそーゆー話だって、最近は全然聞いてないんだけど。今はどうなんだよ、ん?」
「俺は……全然ないし、そういうのは」
「そうなの? 最後に訊いた時は、今は仕事に慣れるのに手いっぱいで、そんな余裕ないとか言ってたっけ」
「今も余裕ないから」
新の返答に、どこかほっとする自分を認識する。
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