第6話

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 マンション入り口は合鍵を使って入り、部屋の前でインターホンを押す。いくらも待たずドアが開かれ、すでにシャワーを浴びたリラックスウエア姿の新に出迎えられた。 「お帰り、お疲れ様」 「た、ただいま」  やっぱり妙な照れがあって、お互いに顔を見合わせて笑ってしまう。  部屋に入ると、すぐにカレーのいい匂いが漂ってきた。 「え、もしかして、作ってくれた?」 「うん、料理ほとんどしたことないから自信ないけど、カレーならいけるんじゃないかと思って」 「うっわ、嬉しい。食べたかったんだよな、カレー」  もしかすると、朝に帰宅時間を訊いた時から、作ってくれようとしていたのだろうか。  会社帰りにスーパーに寄る新。  カレールーはどれにしようかと迷う新。  どの野菜が新鮮か吟味する新。  カレーを作って食べないで、自分を待っている新。  想像したどの新も可愛すぎて、ギューしてグリグリしたくなるのを理宇は必死に耐えた。  手を洗って、カレーをよそってくれている新の隣りでグラスにお茶を注ぐ。  2人ソファに並んでいただきますをしてから、具の大きなカレーを頬ばった。
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