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「今度は何食べたい?」
「え、また作ってくれんの?」
新が俺のために作ってくれた料理がまた食べられることが嬉しくて、思わず食い気味に尋ねた。
「そんなに難しいのは無理かもしれないけど」
「いや、新が作ってくれんなら、なんだって嬉しいし……あ、っていうか、俺が世話になってるんだから俺が作る」
「……え」
食べる動きを止めて、理宇を凝視してくる。
新の過剰な反応に、そんなにおかしなことを言ってしまっただろうかと不安を覚えた。
「あー、俺が作ったのとか、あんまだよなぁ。ブランクもあるし」
苦く笑って、無意味にこめかみの辺りを掻く。
「そんなことない。嬉しいし、すごく食べたい」
即座に否定して、喜んでくれる新にキュンとした。
「でも基本は俺の方が帰ってくるの遅いだろうしなぁ……とりあえず確実にできんのは休みの日かな」
「じゃあ、理宇が仕事の日は俺が作る。残業ある時はできないかもしれないけど」
「無理しなくていいからな。時間なかったり疲れてる時は配達とか買ってきたのとかにしよ」
「うん」
どこかワクワクした表情の新に、目じりを下げる。
ああ、なんかいいなぁ、こういうの。
一緒に暮らしてるって感じする。
新のカレーを食べながら、幸せな現状を噛みしめる。
――せいぜい同棲ライフを楽しんどき。
雪哉のセリフが脳内再生されて、「だから、同棲じゃないから」と即刻打ち消した。
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