第6話

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 そろそろ帰れそうだろうかと、水浸しのボディーバッグからスマホを取り出そうとした時…… 「……っ、くしゅ!」  盛大なくしゃみの直後、ぶるっと大きく身体を震わせた。  夏といえど、まだそれほど気温は高くない。そんな中全身びしょ濡れになれば当然寒い。 「先にシャワーだな」  玄関から洗面脱衣所へ直接駆け込み、水分で重くなった衣類を脱いで洗濯機に放り込む。  バスルームで熱いシャワーをじっと浴びていると、徐々に冷えた身体が温まっていった。  多分新も傘を持っていない。  きっとあれはゲリラ豪雨だから、待っていればそのうち止むはずだ。賢明な新のことなので、遭遇しても理宇のような無謀をせず、雨宿りしているかもしれない。  念のため、シャワーのついでに浴槽にお湯を張る準備をしてから、バスルームを出た。
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