第6話

13/15
前へ
/416ページ
次へ
「あの、ごめんな。裸でウロついて、なんか、変なもの見せて」  理宇の遠慮がちの声に、新がようやく振り向く。 「どうして理宇が謝るの?」 「え……」  新が立ち上がって、理宇の傍まで歩いてくる。 「俺の方こそ、タイミング悪くてごめん」 「新が謝る必要なんてないから! 俺が悪くて……ってかここ新の部屋だし」  怒っているのかもしれないと思った新は、正面から見ると沈んでいるように見えた。  さっきとは違う焦りが、理宇の中に広がる。 「本当にごめんな」  謝罪を繰り返す新は、やっぱり暗い顔をしている。  新が気に病む必要なんて、まったくないのに。 「だから、謝らなくていいから。勝手に見せたのこっち」 「でも……」 「大体、俺と新の仲だろ? 昔から散々一緒に着替えたり風呂入ったりしてたじゃん。今さら……」  努めて明るく言い放った理宇の語尾は、突然尻すぼみになった。  新の強い視線に気づいて、それ以上続けられなくなる。
/416ページ

最初のコメントを投稿しよう!

715人が本棚に入れています
本棚に追加