715人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの、ごめんな。裸でウロついて、なんか、変なもの見せて」
理宇の遠慮がちの声に、新がようやく振り向く。
「どうして理宇が謝るの?」
「え……」
新が立ち上がって、理宇の傍まで歩いてくる。
「俺の方こそ、タイミング悪くてごめん」
「新が謝る必要なんてないから! 俺が悪くて……ってかここ新の部屋だし」
怒っているのかもしれないと思った新は、正面から見ると沈んでいるように見えた。
さっきとは違う焦りが、理宇の中に広がる。
「本当にごめんな」
謝罪を繰り返す新は、やっぱり暗い顔をしている。
新が気に病む必要なんて、まったくないのに。
「だから、謝らなくていいから。勝手に見せたのこっち」
「でも……」
「大体、俺と新の仲だろ? 昔から散々一緒に着替えたり風呂入ったりしてたじゃん。今さら……」
努めて明るく言い放った理宇の語尾は、突然尻すぼみになった。
新の強い視線に気づいて、それ以上続けられなくなる。
最初のコメントを投稿しよう!