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第1話
6月の終わり。
夏の気配を全身に感じる、蒸し暑い放課後。
下校する友人達と別れ、校門とは反対方向に歩く吉川サチ。
重い足取りの中、渡り廊下から空を見上げると、西の方に灰色の重い雲がいっぱいに立ち込めていた。
生ぬるく湿った強い風が、近くの低い山からおりてくる。
「傘、持ってきてないや…。天気予報、雨って言ってたっけ?」
風で顔にかかった髪を耳にかけ直し、再び空を見上げた後、サチは生徒会議室のドアを開けて窓際の席に着席した。
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