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理人さんがペアを組むなら、本来もっと上手な人とやるべきだと思う。そう考えると、本当にいいのかなと思えてしまう。
「僕さ、かじき団に戻ってきて、やっぱり自分がダンスを好きなのを実感できたんだよね。実は、蓮見さんと姉さんを見ていて、前からペアダンスをやってみたかったんだ。だけど、ペアは誰でもいいという気持ちにもなれないし、紬ちゃんが一緒にやってくれるなら僕はやりたいな」
「本当にいいんですか」
「もちろん」
「紺野先生、ありがとうございます」
紺野先生はまた私に居場所を与えてくれた。いつか本当に私も紺野先生みたいに誰かに手を差し伸べられるようになりたい。
「いつきと白橋さんも参加するって言っていたし、谷中さんもよくわからないけどとにかく来るって言っていたから、今までとさほど変わらないわね。名前も同じだし」
「え、先輩たちも来られるんですか」
「ええ、そうね」
「あのさ、それ先に言えばいいじゃん。無駄に紬ちゃんのことを不安にさせなくても」
理人さんが不満げに眉を顰めて紺野先生を見た。
「今度は、空野さんに自分の意思で決めて欲しかったの。理人にもね。ボランティアじゃないから、頑張れるかどうかは自分自身に掛かっているもの」
紺野先生の言う通りなのかもしれない。私、いつの間にか演劇やミュージカルへの憧れよりも、ダンスに夢中になっていた。
先輩たちと一緒じゃなくてもいいと思えるくらいに。
「もしかして名前も同じって、まさか」
「そう。新生かじき団へふたりともようこそ」
やっぱりと苦笑いする私と理人さんにそう言って、紺野先生はにっこり微笑んだ。
「近くて遠い、エメラルド」Fin
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