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「紬ちゃん……。大丈夫だよ。僕もいるし、珠理ちゃんたちもいなくなるわけじゃないから」
「……そうですよね。わかっているんですけど、凄く寂しく感じてしまって」
「空野さん、あなたがやっぱり演劇をやりたい、ミュージカルの勉強をしたいと思うなら、意味がないかもしれないんだけど」
紺野先生はそう前置きしてから、泣きそうになっている私の顔を上げさせた。
「今度はボランティアじゃなくて、自分の為にスイングダンスをやってみない? 理人とペアで。これまでのソロダンスの練習と並行して、ペアダンスも練習する形になるんだけど」
「どういうこと」
「蓮見くんがずっと言っていたことがあって。かじき団が無くなったら、今度は自分たちが楽しむ為のスイングダンスのサークルをやりたいって」
「え、蓮見さんそんなことを思っていたんだ」
理人さんが驚いたように言った。
「そうね。蓮見くんはかじき団をとても大切に思っていたけど、代表を続ける重圧や、純粋にダンサーとして踊りたいという気持ちがずっとあったんだと思う」
「そっか……。みんな、蓮見さんに甘え切っていたもんね」
「私も含めてね。サークルの練習は、今まで通り月曜と、蓮見くんが仕事休みの水曜の夜にするつもり」
「紬ちゃんはどうしたい?」
「私……下手だけど、続けたいです。でも、理人さんの足をまた引っ張ってしまいそうで」
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