4 エピローグ また別のお話に向かって

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 由理香はスクールカウンセラー室でコーヒーを飲んでいた。スクールカウンセラー室ではスクールカウンセラーの久保典子(くぼ のりこ)先生が()ててくれたコーヒーを飲みながらのカウンセリングが行われる。 スクールカウンセラーは通ってくる少年少女達の心のケアを行うのが役目である。ここに通ってくるのは大半が「登校拒否」「保険室登校」と言った教室に入れなくなってしまった生徒達である。教師としてはスクールカウンセラーに「なるべく早く教室に戻れるようにお願いします」と希望を出すのだが、久保先生としては無理強いをさせずに、このスクールカウンセラー室では好き勝手にさせている。「教室に戻りなさい」とは決して言わないのが久保先生のポリシーである。  久保先生は漫画が好きで、スクールカウンセラー室の本棚には新旧合わせ混じった漫画がギッシリと納められており、診断を受けているうちは読み放題となっている。そのせいか、漫画を読んでコーヒーを飲んで帰るだけの生徒もおり、それを問題視する教師もいたのだが、そんな生徒もケア開始から数日後には教室への復帰という成果が出ているために半ば黙認されている。  由理香はこれまで漫画はあまり読んでいなかったのだが、スクールカウンセラー室に来てから積極的に漫画を読むようになっていた。そのお陰か、漫画好きの舞とも話が合うようになり、会話が弾むようになってきた。
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