プロローグ。

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ペットを飼おうか、少し前に話していた……その事を割りと本気で考えていたのだろう。 店員さんの話を真面目に訊き、気になる点を幾つか話していた。 どうやったら里親になれるか?とか、気に入った子を引き取るにはどうしたらいいのか?とか、ペットショップとどう違うのか?とか。 その都度、店員さんは優しい声、微笑みを向けながら丁寧に答えてくれていた。 その中で、この子達の里親になるのに一番の条件があった。 それは、家族として、大切な家族の一員として接してくれる方にのみ譲渡するという事であり、それに対しての審査があるという事なのだ。 それには理由があって……この子達には辛い過去を持つ子が多くいる、というのだ。 家の事情で飼えなくなって引き取った子。他の保護団体から来た子。捨てられた子。 捨てられたは捨てられたでも、なんとゴミ箱から見付かった子猫とかもいるのだそうだ……。 流石にその話を訊いた時は、言葉を失った。 「……色々、この子達も大変だったんですね」 「はい。 みんな……とは言いませんが、心に傷を負って辛い過去を持つ子が多いですね」 「すず。 飼うならちゃんと考えて、決めないとね」
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