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「くそっ……俺は何をやっているのだ? 何が千切りの舞い、だ。 バカなのか……?」
バリルの都、冒険者ギルド裏手にあるゴミ置き場にてワンは生ゴミを捨てに来ていた。
誰もいない空間に来て、そこでようやく冷静になった彼は……夜空を眺める。
「何のために冒険者になったのだ……何時になったら中級に上がれるのだ」
冒険者にはランクが8段階ある。
初級、中級、上級、高級、銅銀級、白銀級、白金級、黄金級……そして黄金級は、英雄の領域。
ある程度の剣技や拳技、魔術が使えれば上級までは簡単に上がれるだろう。
或いは、算術や斥候など補佐的な技量もあれば少なくとも……初級など直ぐに突破出来るだろう。
だがワンには何もなかった……あるとしたら千切りのま――「だからそんなのいらないんだよぉ……!」ワンは叫び、夜空に吠える。
「何やったんだい? まだ、店は営業中だよ!」
ゴミを捨てるのに時間を掛けすぎたか……マスターが裏手にまで顔を出してきた。
「マスター。 俺はこんな事をしている時間は……」
「とりあえず、愚痴るなら仕事終わってからしなっ! 後でゆっくりと訊いてあげるから」
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