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「アイアイサー……」
ワンはバリルの都での雑用は今回が初めてではない……日課と言っていい程、雑用をこなしている。
その結果、ワンを冒険者として見るのではなく店員として見る者も多かった。
「ワン~お前には冒険者は無理だって」
「ほんと、ほんと。 万年初級の冒険者なんて俺はお前以外に知らねーよ」
「「ギャハハハ……!」」
ワンは今年で20を迎える……成人を迎え、ギルドに登録して既に5年。
武勇の才能も、魔術の才能も彼にはない。
頭の回転も速い方ではないし、これといって得意とする物は……千切りの舞い――おっと、これ以上は彼の心に傷を付けるので止めておこう。
「……もう、おせぇよ」
どうやら遅かった様だ……致命傷でない事を祈ろう。
ーーー
『バリルの都』は夜、21時を持って店変わりする……と言っても何が変わる訳でもなく店主が膨よかな女性から、膨よかな男性に変わるだけなのだが。
「お疲れさま」
「お疲れさまです……マスター」
2階にある休憩所で、ワンはマスターに挨拶をする。
「あんた、何時まで冒険者を続けるつもりだい……?」
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