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「い、何時まで……とは?」
「あんたには悪いけど、店に来る連中と同じように……私もあんたには冒険者は向いてないと思うんだよ」
マスターはエプロンを洗濯ガゴに放り投げ、円形のテーブル近くにある木製の椅子に腰掛ける……重さで折れやしないだろうか?と、ワンは少しだけ不安になる。
「……俺はなるさ。 一人前の冒険者に」
「誰もパーティーも組んでくれない、あんたがかい?」
「パーティーなんていらないさ……一人でやっていける」
「はぁ。 何時になったら止める気になるんだい? もう十分だろうに」
「十分……? 十分な訳があるかっ!」
「あんたの気持ちは分かるよ……冒険者になって、有名になって、あんたを捨てたグレイグ家を見返してやるっていう、気概はさ」
「だったらっ!」
テーブルを強く叩き、顔を覗かせるワン。
「確かに、私やうちの旦那はギルドにも顔は効く……でも、何の実績もないどころか、仕事を1度も達成した事のないあんたを、推すことは出来ないよ」
マスターが話す言葉は何も間違った事は言っていない……ギルドは世界各国にあり信頼と実績を積み上げてきた。そして冒険者はそのギルドに加盟する子会社とも言える。
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