万年初級の冒険者。

10/13
前へ
/287ページ
次へ
ど、どこから現れた……? 周囲には人は居なかった筈だ。 「き、君は――」 「なんでこんな酷いことをするの!?」 えっ……? 酷い……こと……? いきなり目の前に現れたのは女性の様だけど……見たこともない服装をしている。 「いや……えっ……?」 駄目だ……訳が分からない……。 女性は蝙蝠猫を抱えながら、振り向き――驚愕とした表情を浮かべる。 「……日本人じゃないの、ね」 ニホ……なんだって? 何を言っているんだ……? 「えっと……言葉が伝わらないかもしれませんけど……日本には動物保護法っていうのがあって、ですね……」 「……ドウ……ブツ……?」 「世界にもあると思うんですけど……って、言葉通用しないよ……ね」 彼女は初めと違って、俺に対する態度が明らかに変わった――あぁ。 俺が武器を持っているからか? いや、俺は冒険者であって殺人集団ではない……よって人様に危害を加えるつもりはない。 握っていたロングソードを……いや、待て。 鞘に戻してはいけないだろう……俺は何をしにここに来たんだ。
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加