万年初級の冒険者。

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「え?」 「そこを退けっ! そのモンスターは俺の獲物だ!」 「言葉が通じる……の?」 「さっきから何を言っているんだお前は……ピッツァから来たのだろう?」 俺はロングソードを女に差し向ける。 「ひっ!」 ん、なんか……怖れていないか? これではまるで、俺がこの女を脅している様ではないか。 「……え? なに?」 「ん、何だ?」 ニャアアァァァァ! 女が何かを呟いたかと思うと突然、蝙蝠猫が叫び出した……威嚇? いや、違う……では、悲鳴? そうでも、ない。 そもそも蝙蝠猫がこんな大きな声を出すなんて、聞いたこともない……。 「あれ、私、なんでこの子の言葉が分かるんだろう……?」 女は意味深な事を言う……言葉が分かる? この子の……? 蝙蝠猫の言葉をだろうか? まさか、な。 ニャアアァァァァ! ミャアアァァァァ! 「仲間をよ、呼ぶ? 怖かったよね、痛かったよね……ごめんね」 女は蝙蝠猫に謝罪すると、抱えていた腕を外し……自由に。 「自由に……? 逃げてしまうじゃないかっ!」 俺はがら空きになった蝙蝠猫の背後へと向かい、詰め寄る。
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