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蝙蝠猫は変わらず、逃げるでも何をするでもなく、ただ鳴き続けている。
「……えっ? ダメだよ、そんなのっ!」
女は変わらず、訳の分からぬ事を喋っている――だが、関係ない。
俺には関係のない事だし、横取りなんてされてたまるかっ!
女が手を出さないというのなら、当初の予定通り、俺が蝙蝠猫を討伐するという事だけだ。
ロングソードを上段に構え、標的を改めて射程圏に入れる……。
「今度こそ、俺の初任務達成だ!」
剣を振り下ろし、蝙蝠猫の背中へと強烈な一撃を放った――その瞬間。
地揺れが起こった。
その揺れで、俺の攻撃は対象には当たらず再び地を抉った。
「な、なんだっ……!?」
この揺れ、振動は継続的な物ではなく、単発的だった。
まるで、大きな何かが動いているみたいに。
「……うそ、だろ?」
それは、直ぐに視界に現れた。
街道を外れた草原の奥から、此方へと勢い良く向かってくる何かが原因だったからだ。
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