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――違った。
戦ってはいなかった……女は、誰かと会話をしている様だった。
ここにいる人間は、俺とこの女しかいない……いや、俺も現実逃避をした位だからこの女も現実逃避をしている?
その可能性はある……むしろ、それしか考えられん。
というか、そうであるならばこの女の言動の辻褄は合う。
「あなた……言葉通じ、ますよね?」
「え?」
「あなたですよ……何て、顔をしているんですか?」
女は急に振り向き、話し掛けてきた。
こんな緊迫した状況なのに、やはり現実逃避を……可哀そうな奴だ。
まぁ、それはいい。それは置いておこう。
それより……いきなり人の顔に文句を言うのは如何なモノか?
性格はまだしも、体の一部を非難するとはなんて酷い奴なんだ。
確かに、訝しげな表情はしていたかもしれんが……あ、それに対しての意味か?
「人の話、訊いていますか?」
でも、あれ?
なんか俺と違って現実逃避をしている、顔ではないぞ?
どちらかというと、真面目な表情……しかし、珍しい顔立ちをしているな。
ピッツァにこんな顔の薄い奴、いたか?
「無視しないで下さい……!」
「むし……無視? 何の事だ?」
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