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「うん、ありがとう……」
征巳さんはこんなにも心配性だったのかと思うくらい、ここを出るまでの間に何度も私の体調を確認した。
病院行かなくてもいいのかと、何度も聞いてきた。
私をひとりにするのが、かなり不安らしい。大丈夫だからと強く伝えて、いつもよりも出るのが遅くなった彼を見送る。
彼の優しさはうれしいのだけど、ちょっと疲れてしまって、ため息を漏らした。
その後も彼の心配は続き、仕事の合間に何度も連絡が来た。
今日中になんとか体調を戻さなくては、彼の仕事に支障が出てしまいかねない……と、ほとんどベッドで過ごす一日となった。
おかけで平熱になり、元気だ。寝すぎたかも。
征巳さんは朝に宣言したとおり、いつもよりも早くに帰ってきた。帰るとメッセージをもらっていたので、リビングのソファーに座り、そわそわしながら待っていた。
ロックを解除する音が聞こえ、玄関まで行って、出迎える。
「ただいま。ゆりか、起きて大丈夫なの?」
「もう元気ですよ」
着替えるため、クローゼットに向かう彼のあとを追う。
「ん? どうした?」
「寂しかったです」
結婚してから、何時間もひとりで過ごすのは初めてだった。結婚するまではひとりなのが当たり前だったし、寂しいと思わなかったけど、今は違う。
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