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私が素直にうなずくと、彼は外に出ていく。どこに行ったか分からないけど、おとなしく待っていようと目を閉じていたら、眠くなってきた。
眠っていたのか、起きていたのかよくわからない境目にいたような……私の名前を呼ぶ声が聞こえて、目を開ける。そこには、心配そうな顔で覗きこんでいる征巳さんの顔があった。
「お粥、作ってもらったよ。起きて食べれる?」
「 食べれますけど、どこで作ってもらったんですか?」
ダイニングテーブルに小さな土鍋が置かれていた。中身は玉子粥で出汁の良い香りがしている。
聞くと、下のラウンジで作ってもらったという。そんなサービスまであるのかと驚いたが、なんと特別に頼んだらしい。
特別で急な依頼が通るのは、征巳さんだからだろう。彼は作ってもらっている間に、いつもの朝食を済ませたそうだ。
「昼には、コンシェルジュが届けてくれるから、それを食べてね」
「えっ、ここまで?」
「うん。俺がずっとそばで見ていてあげたいけど、今日は会議があるから、ごめんね。ゆりかは、早くよくなるようにおとなしく寝ていてよ。夜は、早めに帰るようにするから、それまで待っていて」
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