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それに、普段なかなか食べれない鰻が入ってる……。これを食べたら、ますます元気になれそうだけど、やはり気になるのはお値段。
「入籍した日に行ったところで、買ってきた。あそこ、弁当も販売してるんだよ。ゆりかが美味しいと気に入ってくれていたから、そこのにしたんだ」
「そうなんですね。ありがとうございます」
彼は『Kenアイランド』のようなカジュアルなカフェも利用するけど、高級なレストランもよく利用してきた。
今まで征巳さんの歩んできた人生は私と違って、華やかなものだ。彼に合わせなければいけない部分が多いが、まだ馴染めない。お弁当ひとつでも戸惑ってしまうんだもの。
私のそんな心の内を知らない彼は、「うん、おいしい」とうなずきながら、同じものを食べている。
私の作る庶民的な料理でも、彼は同じような顔で食べてくれている。
「ゆりか、食欲ない?」
「えっ? ううん! 全部食べれますよ」
途中まで食べて、箸を止めていた私は、征巳さんの心配する問いかけに、首をブンブンと横に振った。
彼は、本当によく見ている。見ていてくれるのは大切にされている証拠に思えるが、いろいろと見透かされているようで、ちょっと怯んでしまう。
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