夫婦の時間

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「くれぐれも無理しないこと。少しでも異変を感じたら、俺にすぐ言って」 「わかりましたよ」 「なんだよ、その拗ねたふうな返事は……」 「だって……今日起きてから何回めですか? 何回も言われるとうざくなりますからね」 私の言い返しに征巳さんは「うざいか……」と呟いた。 心配してくれている人にたいして、冷たく返したのは、悪かったと思う。落ち込んでる様子の彼に降りてから、より添う。彼は、弱々しい表情で私を見た。 私たちが歩いていく先に、副社長がいた。私たちの姿を確認するなり、副社長は口もとを緩ませて、片手を挙げる。 「芦田さん、もう元気になったの? あ、芦田さんじゃなくて、大江さんと呼んだほうがいいかな。んー、なんかややこしくなるから、ゆりかちゃんでいいかな?」 副社長までもが、私が昨日具合が悪かったことを知っていたとは……征巳さんが話したのかもしれないけど、ちょっと驚きだ。
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