1633人が本棚に入れています
本棚に追加
「くれぐれも無理しないこと。少しでも異変を感じたら、俺にすぐ言って」
「わかりましたよ」
「なんだよ、その拗ねたふうな返事は……」
「だって……今日起きてから何回めですか? 何回も言われるとうざくなりますからね」
私の言い返しに征巳さんは「うざいか……」と呟いた。
心配してくれている人にたいして、冷たく返したのは、悪かったと思う。落ち込んでる様子の彼に降りてから、より添う。彼は、弱々しい表情で私を見た。
私たちが歩いていく先に、副社長がいた。私たちの姿を確認するなり、副社長は口もとを緩ませて、片手を挙げる。
「芦田さん、もう元気になったの? あ、芦田さんじゃなくて、大江さんと呼んだほうがいいかな。んー、なんかややこしくなるから、ゆりかちゃんでいいかな?」
副社長までもが、私が昨日具合が悪かったことを知っていたとは……征巳さんが話したのかもしれないけど、ちょっと驚きだ。
最初のコメントを投稿しよう!