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俺はアルベルト・パライドル・タンザ。
タンザ王国の第2王子として生まれた。
第2王子というのは、なんとも中途半端な存在で王位継承権第二位であり、王位を継ぐ可能性は低い。ただ王位継承権がある以上、義務は果たさなくてはいけないわけで。
正直、俺は王位なんていらないが、投げ出すこともできず、悶々としている日々である。
「父上、アルベルトです。お呼びとの事で参りました」
「入れ」
父上の私室の扉を開けると、寛いでいる父上が俺に席を勧める。
「アルベルト、久しぶりに顔を見た気がするの」
「父上、1週間前にも呼ばれましたが……」
「そうだったかのぅ」
「はい」
「1週間前の話を覚えておるか?」
「…………はい」
はぁ……本題、突入……
「……私の婚約者候補についてです」
「おお、そうだった! で、決めたのか?」
なぁにが、おお、そうだった! だよっ。
我が父ながら、この飄々とした感じが憎たらしい。
「いえ……まだ」
「そろそろ、決めんとなぁ。お前は王位継承権がある王子なのだから」
「…………はい」
わかってる。俺は王子だ。
我が国は自由恋愛も多いが、俺は王子だからそうもいかない。王族は10歳になると婚約者候補を決めるのが、慣例。
俺はもう12歳だ。
わかっている。
わかっている。
魔道士の令嬢との結婚が最善なのは、嫌っていうほどわかっている。
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