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それでも幼い頃から私の家の庭で二人して毎年恒例になっていた朝顔の種蒔きをした。 今年は受験勉強とか憂鬱な気分を指で挿した土の穴に一つ一つ小さな種を還しながら振り払って欲しいと祈リを込めた。 この種は8年間ずっと同じ朝顔から採った私達の思い出のDNAを引き継いでいる。毎年同じような花を咲かせながら、たまに見た事のないような花をつける事があるのでそれも楽しみの一つとなっていた。 私のアルバムにある幼い頃の写真は毎年大きな花をつけた朝顔と私達の弾けた笑顔に溢れている。 種蒔きが終わると遠くから雷鳴と共に灰色の雲と涼しい風が流れて来た。 「来るね。」 私達が顔を見合わると、 ボトボトと大きな雨粒が辺りを囲み あっと言う間にアスファルトと土の匂いが立ち込めた。 私達は何だか嬉しくて頭からつま先までずぶ濡れになりながら何かの儀式の様に雨粒を顔に受け自分の身体を抱きしめた。 夕立の洗礼を受けたアイナのT-シャツからは下着が透けて見え 胸の膨らみと丸みを帯びた始めた身体が羨ましくも刺激的だった。 私は彼女の成長の速さに驚き 嫉妬しながらも近寄りがたいけど触れたいと言う欲求で混乱した。 種蒔きをした土は色を濃くして所々に水溜りが出来ていた。 私達に起こっている心と身体の不調和をこの夕立が洗い流してくれたならいいのにと思った。
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