2 マジックポケットって便利なの

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2 マジックポケットって便利なの

あれ、なんか黒いものが動いている。魔物? 繁みを目を凝らしていると、マカミがフンと鼻を鳴らした。 あれ、黒い馬じゃない? 名馬っていわれている、黒い馬に似てる。まさかね。こんなところに名馬のブラックナイトがいないわよね。 気分転換に森に行くところです。家の雰囲気が湿っぽくてね、居づらいの。お母様に修行してきますと言ってきました。 不審な動きをする繁みばかり気にしていたら、マカミに上に乗れと言われました。 ごめん、ごめん。さあ、森へ行こう! マカミがいるのに魔物が寄ってくるはずはないわよね。 マカミは守護神だからね。もし寄ってくるやつがいたら、守護神級の魔物。それってやばいやつじゃん。といっても、そうそうそんな奴はいない。 この土地は神々に愛されている土地で、魔物はほとんどいないの。いてもマカミのような守護神が追い払ってくれる。平和を重んじる民を守ってくれているのだ。ありがたやー。 マカミの背中にしがみつくと温かくて気持ちがよくなってきた。ぽかぽか陽気でうっかり途中何度か気を失い、落ちそうになりながら、いつもの森に到着。 「ありがとう」 私はマカミの首や背中を撫でました。 「マジックポケット」 空間を撫でると、私とマカミを認識し、空間に割れ目ができます。 さて、今日も究極魔法の研究をしましょう。現在マイブームは風魔法。 究極魔法って、それだけで最強魔法なんだけどね。でも、最強魔法って、現実には使えないじゃない? 日常生活に不要だもの。 本当は毎日ちょっとでもいいから究極魔法を使うほうがいいと思うの。 いざという時に、成功率100%で使えるし。というわけで、私の研究は究極魔法の実用化です。 辺りを見回し、人気のいないことを確かめると、私とマカミは割れ目の中へ入ります。 最後にちらっと黒い影が見えた気がしたけど……、マカミが無視しているので大丈夫だと思います。気のせいかな。 もし帰りにも黒い馬がいたら、うちに連れて帰ってあげよう。それで、お腹いっぱいにしてあげて、うちの子にしちゃおう。 しかし、残念。今日の研究を終えて、マジックポケットからでてきたら、黒い馬はいませんでした。 「はあ」 残念そうにしていたら、マカミに怒られました。 ヤキモチ? 可愛いやつめ。 マカミにぎゅっと抱きつくと、マカミは満足そうにしている。 でも、マジックポケットのあたりにいくつかの足あとがあるんだけど。 なんか嫌な感じ。いったい誰なの?
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