6 開拓の準備をしよう

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6 開拓の準備をしよう

「開拓にいくなら、アリスさまは、マジックポケットでしばらく暮らすつもりでしょう? ワードローブもベッドも必要ですね……」 ブラウンはマジックポケットにソファとテーブルを押しこみ、また、パタパタと廊下をかけて戻って行く。 今度は果物やお菓子を両手いっぱいに抱えて戻ってきました。 「アリスさま、厨房からの差し入れですよ」 「ありがとう! こんなに?」 「マジックポケットなら中身は腐らないんだろうって、厨房長が……。これから備蓄用食事の方もご用意すると言ってましたよ。パントリーも作りましょうね」 なんてありがたいんだろう。もう感動しちゃうよ。これで食糧事情は問題なしね。 「いいですか、わたくしが一緒に参りますから。おいていかれたら、心配で仕事になりません。もしわたくしが邪魔でしたら、普段はマジックポケットに入っております」 ブラウンがついてきてくれるって。よかった。心強いわ。 ブラウンは、現在、片付けをしています。目が血走っているように見えるのは気のせいですか? 私はというと……、邪魔にならないように、ブラウンがさっき置いてくれたソファに座って、魔法道具の本を読んでいますが……。 「アリス様。ちょっと! この本の山、なんとかなりませんか」 「アリス様! 魔法練習場のがれきはどうするんですか」 度々呼び出され、読書なんてできなくなってきました。 ひーん、本を読みながらマカミをもふもふ撫で撫でして癒されたいのに。 ジト目でマカミを見るが、マカミはあえて視線を合わさないようにしています。 ちなみに私は公爵令嬢だから掃除をしなくてもいいのよと言えるような、プライドは持ち合わせておりません。 自分のことはなるべく自分でしましょうねと育てられております。だって、ここはへき地ですからね。人材だって限りがあるんです。 「お嬢さまはここにいても邪魔なので、お暇ならマカミと一緒に町で買い出ししてきてください」 私はブラウンから買い出しメモを渡された。 すいません、戦力外で……。 「おつかい、いってきます」 「すぐにお戻りくださいね」 「うう、わかりました」 寄り道しません。約束します。 「マカミ、町にいこう!」 マカミはのっそり起き上がって、上体を伸ばします。ぶるぶると体を震えさせると、寝ていた毛がふわふわになりました。 わーいと抱き着こうとしたら、マカミは鼻先でわたしをマジックポケットの外へ押し出します。 しっかりしてるわね、マカミ。ブラウンの教育がマカミにまで行き届いているとは、侮れない。さっさと行こうってことね。わかったわ。 「町へ連れて行ってくれる?」 私がマカミを撫でていると、背中へ乗れとマカミに指示されます。 究極魔法で移動してもよかったんだけど、誰が見ているかわからないから外ではやらないルールがあるの。 町には異国の人もたくさんいるから、究極魔法をどう思われるか気をつけないとね。それくらい、私だってわかりますとも。 面倒だけど、ちゃんとそういうルールは守るのよ。自分のためにもなるからね。 あれ、木立の向こうにまた黒い馬みたいのが見えたけど……。気のせい? ブラックナイトじゃない? 目を凝らしていると、マカミが前を見ろと言ってきた。 「ねえ? 黒い馬がいるみたい?」 マカミは知らん顔です。 ブラックナイトが気に入らないのか、それとも気にするなっていうことなのか、どっちかよくわからないけど。 それにもう一つ黒い頭が見えるんだけど。あれはニンゲンかしら。 なんだか気味が悪いわね。誰なのかしら。 私が渋い顔をしていたら、マカミがぐんとスピードを上げました。きゃー、ごめんなさい。
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